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paclitaxol

March 12, 2025

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宙ぶらりん

高校に入ったとき、学校の化学オリンピックチームに選ばれた。教室は敷地の片隅に位置する、いささか寂しげな佇まいの校舎にある。そのおかげで、自分がほかの同期生と違っていることを漠然と意識させられていながら、隔てられた生活を送らなければならなかったが、昔から人見知りの私にとっては、むしろまんざらでもないように思えていた。
というわけで、最初は新たなことに満ちた生活を心待ちにしていた私だったが、やがてかすかに不安を覚えるようになってきた。教室に足を踏み入れるたびに、まるで近光速宇宙船にでも登ったような気がするようになった。宇宙船の中で勉強に没頭することで、時間への感覚が薄れる。しかし、気分転換などのつもりで宇宙船を出てみると、世界はこうも早く変化するものだろうかと、呆気にとられることもしばしばあった。何も変わっていないようで、実際何もかもがひそかに変わっているのだ。以前のクラスメイトの見分けられないほどの変貌に驚いたり、昔の友達ともだんだん疎遠になってしまった。そういうこともあってか、私は一層引っ込み思案になり、交流もチームのうちに限られていた。教室では気楽に振舞えた私は、人混みのところに出ると、急に窮屈になり、他人の視線さえ怖くなり、無言のままこらえていた。ついに、二年生の春のころから休みがちになった。
いつの間にか、同期生は皆卒業していた。皆がお互いに影響し、ともに成長していく中で、私だけが取り残されているようだ。大学に入ることもなく、そのまま宙ぶらりんになった私は、家を踏み出したことは一度もない。まあ、正確に言うと、郵便物などを取りに出たことはなくもないのかもしれない。一日、何をして過ごしているかというと、本を読んだり、ライブを見たり、猫に話しかけたりしている。それは決して何かに興味を持っているからではなく、ただ何もしないでいると、屈託が胸の中に積もり重なってしまうからだ。

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宙ぶらりん

高校に入ったとき、学校の化学オリンピックチームに選ばれた。

教室は敷地の片隅に位置する、いささか寂しげな佇まいの校舎にある。

そのおかげで、自分がほかの同期生と違っていることを漠然と意識させられていながら、隔てられた生活を送らなければならなかったが、昔から人見知りの私にとっては、むしろまんざらでもないように思えていた。

というわけで、最初は新たなことに満ちた生活を心待ちにしていた私だったが、やがてかすかに不安を覚えるようになってきた。

教室に足を踏み入れるたびに、まるで近光速宇宙船にでもったような気がするようになった。

宇宙船の中で勉強に没頭することで、時間への感覚が薄れる。

しかし、気分転換などのつもりで宇宙船を出てみると、世界はこうも早く変化するものだろうかと、呆気にとられることもしばしばあった。

何も変わっていないようで、実際何もかもがひそかに変わっているのだ。

以前のクラスメイトの見分けられないほどの変貌に驚いたり、昔の友達ともだんだん疎遠になってしまった。

そういうこともあってか、私は一層引っ込み思案になり、交流もチームのうちに限られていた。

教室では気楽に振舞えた私は、人混みのところに出ると、急に窮屈になり、他人の視線さえ怖くなり、無言のままこらえていた。

ついに、二年生の春のころから休みがちになった。

いつの間にか、同期生は皆卒業していた。

皆がお互いに影響し、ともに成長していく中で、私だけが取り残されているようだ。

大学に入ることもなく、そのまま宙ぶらりんになった私は、家を踏み出したことは一度もない。

まあ、正確に言うと、郵便物などを取りに出たことはなくもないのかもしれない。

一日、何をして過ごしているかというと、本を読んだり、ライブを見たり、猫に話しかけたりしている。

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言わるる「引きこもり」?

宙ぶらりん


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高校に入ったとき、学校の化学オリンピックチームに選ばれた。


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教室は敷地の片隅に位置する、いささか寂しげな佇まいの校舎にある。


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そのおかげで、自分がほかの同期生と違っていることを漠然と意識させられていながら、隔てられた生活を送らなければならなかったが、昔から人見知りの私にとっては、むしろまんざらでもないように思えていた。


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というわけで、最初は新たなことに満ちた生活を心待ちにしていた私だったが、やがてかすかに不安を覚えるようになってきた。


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教室に足を踏み入れるたびに、まるで近光速宇宙船にでも登ったような気がするようになった。


教室に足を踏み入れるたびに、まるで近光速宇宙船にでもったような気がするようになった。

宇宙船の中で勉強に没頭することで、時間への感覚が薄れる。


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何も変わっていないようで、実際何もかもがひそかに変わっているのだ。


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しかし、気分転換などのつもりで宇宙船を出てみると、世界はこうも早く変化するものだろうかと、呆気にとられることもしばしばあった。


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以前のクラスメイトの見分けられないほどの変貌に驚いたり、昔の友達ともだんだん疎遠になってしまった。


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そういうこともあってか、私は一層引っ込み思案になり、交流もチームのうちに限られていた。


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教室では気楽に振舞えた私は、人混みのところに出ると、急に窮屈になり、他人の視線さえ怖くなり、無言のままこらえていた。


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ついに、二年生の春のころから休みがちになった。


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いつの間にか、同期生は皆卒業していた。


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皆がお互いに影響し、ともに成長していく中で、私だけが取り残されているようだ。


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大学に入ることもなく、そのまま宙ぶらりんになった私は、家を踏み出したことは一度もない。


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まあ、正確に言うと、郵便物などを取りに出たことはなくもないのかもしれない。


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一日、何をして過ごしているかというと、本を読んだり、ライブを見たり、猫に話しかけたりしている。


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それは決して何かに興味を持っているからではなく、ただ何もしないでいると、屈託が胸の中に積もり重なってしまうからだ。


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