夢追い人

僕には変わった同級生がいる。

11歳の頃に出会って以来、僕は彼の言動に疑問を持ち続けていた。

彼は自分の能力に対して正しい認識をしていないように見えた。

自分の適性に合ってない教科ばかりを選んで勉強していた。

エンジニアになるという夢があり、そのために理系科目を多く専攻していた。

しかし根っからの文系で、文学の成績はすこぶるよかったのだが、物理、数学、化学はさっぱりだった。

理系の科目のテストで悪い点数を取り続けたにもかかわらず、進路を変更せずにひたすら理系の科目を勉強しつつ、理系の課外活動に参加し続けた。

努力を惜しまない姿は素晴らしいと思ったのだが、理系科目を勉強する彼はとても苦しんでいるように見えた。

そんなある日、彼がある小説について討論する会を開いた。

舞台の上で小説の考察を熱弁する彼はとても楽しそうで生き生きとしていた。

聴衆は彼を称賛し、拍手を送っていた。

彼は舞台の上で輝いていた。

これほど才能があるのに、なぜ彼は自分の適性に反して進路を選ぶのか本当に疑問だった。

当時の僕は苦しみながら苦手なことを続けるより、才能を伸ばしていく方が幸せだし、合理的であるように感じていた。

彼は今何をやっているのかはわからないのだが、未だに夢に向かって走り続けているのだろう。